デッキの耐久性を高めるのは必ずしも塗料のおか
げだけではありません。木材の質。

雨ざらしでも夏の強烈な紫外線を浴びても、それ
に耐える木材を探すわけです。

オイル系の塗料をしみ込ませたり塗膜で木材を保
護するのは、いわば助太刀。
耐久力はあくまで木材に求めます。

たとえばヒノキや杉は高い耐久性を示すＤ1樹種
として認められています。
劣化や防腐、防蟻の効果が強くヒノキはＤ1でも
さらに強い特定樹種に指定されている。
※Ｄ1はおもに構造材、Ｄ2は化粧材や内装材

床下に生えた多量の雑草を放っておくのも腐朽を
早めます。
葉から水分を蒸散させるため床下に湿気を持つの
です。

地べたにコンクリート打ちを勧めるのはそのため。
防草にもなり雨水もすぐ乾くのでデッキとコンク
リートはセットとして考えます。

手入れが面倒だという方は木材を使うデッキでは
なくタイル張り等のテラスを勧めます。

木材が持つ温もりには敵いませんが、タイルや石
の質感、ずしっとした重量感。
デッキより遥かに頑丈、長持ちします。

汚れたらデッキブラシを持って水洗いで済むため
手入れが簡単。

※デッキとテラスの違い
　【デッキ】骨組み構造で作られた床
　【テラス】コンクリなどの合材を躯体とする床
　つまりデッキといえば木材、テラスといえばコ
　ンクリ下地のタイル張りが代表格です

　　　　タイル張りのテラス。
　　　　ほぼメンテフリーですから楽を選ぶのでしたら
　　　　こちら。
　　　　デッキは板と板の間に隙間が出来ます。
　　　　一方タイル張りのテラスは隙間のない全張り。

　　　　ただしデッキのような骨組みではないので掃き
　　　　出しのレールに合わせた高さで作ることは出来
　　　　ません。
　　　　巾木内で収めることになるため一段降りたレベ
　　　　ル設定となります。

　　　　基礎パッキンをかぶしてしまっては換気が出来
　　　　ず基礎内部の空気が淀みます。
　　　　　　
　　　　ほかに違う点といえば、デッキは素足、テラス
　　　　ではサンダルを履くイメージでしょうか。
　　　　
　　　　

リビングをさらに広くするテラスやデッキ、ある
いはパティオ。
いつの時代も便利で快適な場です。

外部の床材に使える素材を並べてみます。
石、テラコッタ、タイル、煉瓦、レッドシダー、
桧、杉の赤身、ハードウッドなどなど。

セメントを使ったものも数あって、コンクリの一
発打ちのような荒っぽい仕上げも今の若い世代に
は抵抗がないようです。

テラスやデッキの相談を受ける時、「ウッドデッ
キ」という言葉を必ず聞かされます。
じかに座ったりごろ寝をしたり、木の肌ざわりが
心地いいのです。

しかし雨風に晒す木材は日ごろ手入れをしておか
ないと傷みが早い。
デッキはメンテナンスに少々手がかかります。

その一つが塗装です。
オイルステン、ウレタン、ワックス、店に行けば
いろんなものが並んでいます。

外部に使う塗料は雨や紫外線に強い塗料を。
ウレタンやキシラデコールクラスが今のところ無
難でしょう。

ウレタンはコーティング塗料。塗膜で保護するい
わゆるペンキです。
キシラデは防虫防腐剤が入ったオイルステン系の
浸透性塗料。木材へしみ込ませる塗料です。その
ため木目がしっかりと現れる。

※塗料は劣化前に塗り足すことで効き目が持続し
虫食いや腐朽菌から守ります

心材は赤身の部分、辺材は白身(白太)の部分。

芯去り材とは芯を外した材。
　床や壁、化粧等の板材に使われることが多い。
芯持ち材とは芯が入った材。
　おもに柱や土台、梁などの構造材に使われる。

写真は心材の割合が多いんですが、これは成熟材
（成長によって心材化が進んだ木）だからです。
未成熟材では白身が割りと多いため芯去り材を取
ろうとすると心材と辺材は混入します。

強度があるのは芯去り材よりも芯持ち材だとされ
ます。
ただしこれは一概にそうとはいえず、育ちや乾燥
の仕方で変わります。
成熟した大径木から取る芯去り材は心材化してい
ることもあって芯持ち材と同等の強度があるとい
います。
間伐された未成熟の芯持ち材は木が若いためそれ
ほどの強度はない。

または育った環境。
寒い地域で育った木は強い材木になるといいます。
陽を浴びて早く成長した木よりも、厳しい環境で
ゆっくり育った木の方が年輪の幅が狭いことが多
く、材質が硬く耐久性を持つ。
年輪幅が狭いほど密で強固な材に育つわけです。

ちなみにＫＤ材とＡＤ材の違い。
ＫＤ材(人工乾燥)とＡＤ材(自然乾燥)ではＡＤ材
の方が強度があるという。
自然乾燥によるＡＤ材は脂身が残るため粘るから
です。
ただし乾燥が遅いため割れが多い。
そのため住宅で使う柱の場合あらかじめ背割りし
ておきますよね。
一方ＫＤ材の良い点はＡＤ材よりも含水率が低く
割れや歪みが少ない。
それぞれ一長一短です。

右のハードウッドの柱材も芯去り材です。
芯去り材で節のない柱を取れるということは相当
太い木だと想像できます。

これが同条件の国産の桧なら高級木材となってし
まうので、価格で比較すればハードウッドの方が
値打ちといえるかもしれません。

木材の魅力はなんといっても素材感です。

レッドシダーや杉の赤身、ひのきあたりはすぐに
朽ちるようなことはありません。
手入れ次第でかなりの年数持ち応えてくれます。

木面は多少痩せてはきますが、中の身まで劣化し
ていることはありません。
極端な話、カンナをかければほぼ新品に戻ります。

気を付ける点は虫食いと腐朽菌の侵入。
塗り付けが甘い部分からかじっていき、中を食い
荒らします。
塗り残したところから腐朽菌も入りやすくなるの
できちんと塗料を乗せてやらないといけません。

キシラデコールのような水っぽい塗料は塗り付け
るときにけっこうネタが延びますからね、
塗りが甘くならないようたっぷりとしみ込ませて
やらないと効果は半減します。

上が十年前、左が再塗装した現在の姿です。
板材は杉。施工時は下塗り材と上塗り材を使って
の二工程。

午後から日陰になる東側の施工でしたので、十年
経っても目立つまでの傷みはありませんでした。
いくつかの節が多少劣化していたくらいです。

その間一度も塗り足していなかったそうな。
条件が良かったんでしょう。
しかし南側や西側ではこうはいきません。
強い陽射しが当たり続けるため東側ほど長くは持
ちしません。

雨、強い陽射し、虫食い、腐朽菌。
外部に使う木材は過酷な条件が揃います。時期が
来たら追塗装です。
それをきちんとやっておけば酷い腐朽までは起こ
らないと見ています。

特に木口や節、ビス回りは念入りに塗っておきま
しょう。

　←ペンキ道具についてはこちら

←

　　　　　　　　写真は油性ウレタン塗料の板塀。
　　　　　　　　一般のアクリル塗料よりも密度が高い塗料です。
　　　　　　　　十数年の耐用年数を誇るシリコンとまではいき
　　　　　　　　ませんが、6～8年、条件が良ければ十年持つと
　　　　　　　　言われています。

　　　　　　　　おもな特長は
　　　　　　　　・密度があるため水が入り込みにくい
　　　　　　　　・錆、カビ、藻、紫外線に強い
　　　　　　　　・塗料のひびが出にくい、つまり剥離しにくい

上がアマゾンジャラ、下がイタウバ。
切り口を見れば密度が高いのが分かります。
そのためかなりの重量です。
90角の桧も結構重いんですが、これは体感で
1.5倍以上あるような重さ。

節らしい節が見当たらないのでグレード感が
ある。
かなり太った木から取った芯去り材です。

ほかに特別強い木材といえばハードウッドです。
ウッドデッキに拘る方が一度は検討するであろう
デッキ材。

アマゾンジャラやイタウバ、ウリン等々。
無垢なままでも二十年、ウリンとなれば三十年以
上持つといいます。

アイアンウッドという別名を持つ鉄のような木材
です。金づちで叩くとカンっと高い音が鳴る。そ
れほど堅い。

昔は高額だったので出費の多い新築ではあまり縁
のない素材でした。
90の角材をひのきと比べた時におおよそ三～四倍。
こんなに差があっては中々手が出ません。

最近は手頃とまでは言えませんが、そこそこ値打
ちにはなっています。
販売店が多くなったのも理由ですが、
まぁあまりに安い店は用心しないといけません。
反りがひどいＢ級以下の商品に当たることがある
ので店選びは慎重に。

この木材の一番の特長は腐朽に強いこと。

例えば杉をデッキに使うなら赤身を使えといいま
す。
これは防虫と防腐に効く油分が多いためです。
白身より水に強く腐りにくい、虫にもカビにも強
い、そんな理由から赤身を使えというわけです。

赤身とは芯回り。心材ですね、密度があって硬い。
白身とは芯から遠い部分の辺材。
白太といってこちらは若い細胞のため年輪の間が
広く水がしみ込みやすい。つまり外で使うと腐り
が早い。

これより強いのがハードウッド。
切ってみると切り粉が明らかに違いますからね、
油分が比較にならないほど非常に多く含まれてい
ます。

木材というより、油を圧縮させた物質なんじゃな
いかと思わせるほどです。
二、三十年の耐久性というのも大風呂敷で言って
るのではないかもしれません。

市販されているどの木材よりも耐久性があります。
そこは折り紙付きですから値が張るのは仕方ない
のかもしれない。

この木材は電動工具がないとビス一本打つ事が出
来ません。
板塀の場合あとでハンギングや棚を作ろうとして
も、手締めのドライバーと普通のビスでは捻じ込
めないのです。

反り。
木材である限り長い材になるほど反りは出ます。
杉ならばクランプなど使って矯正しながら打ち付
けることが出来るんですが、杉と違ってこの素材
は堅すぎる。

幅広の30ミリ厚だと矯正するのは至難です。
といっても信頼のある店のは酷い反りがほぼない
ので誤魔化しが利きます。

というように、ちょっと手こずる木材なんですが、
出来上がりは相当頑丈な作りとなります。

因みに色はすぐに飛んでしまいますから、この点
も留意しておかないといけません。

初めきれいな暖色系ですが、半年も経てば徐々に
くすみ出し、いずれは白銀色へと変わります。
古くなった木の色そのもの。木材らしいといえば
木材らしい色です。
ただし色付きが好みであれば塗り足しです。

それにいくら耐久性が良くても塗らないより塗っ
た方が寿命は確実に延びるので、何年かに一度の
塗装はした方が良いと考えてください。

「無塗装でも何十年も持つ」、というのは特長の
印象を強く与えるためのキャッチフレーズくらい
に聞いておくことです。
その言葉に安心して放置していると、言うほど長
持ちしなかったなんて話にもなりかねません。

外部で使う木材は基本的に防腐剤を塗るのが鉄則
です。

アマゾンジャラの横張り

地べたのコンクリートを外して良いケースは、
・デッキに雨が当たらない出幅の庇がある
・床下の掃除ができるよう手が届く出幅である

まぁ濡れ縁程度の出幅なら要らないとは思いま
すが、1.2ｍ超えるデッキは床にコンクリート
を打つか、
またはタイル仕様のテラスでしょうね。

デッキやテラスはリビングの延長です。部屋から
の眺めを広げます。
埃が舞う作業も地面に降りずに外に出られる。

作り様によっては落ち着ける場となるんですが、
ただしお隣や道路から丸見えでは居心地の悪さを
感じます。

作ったものの、あまり利用しないとなれば費用の
無駄遣いです。
回りからの視線が気になる場合はその遮りの方法
を考えてみましょう。

我が家の空間は誰に遠慮することのない、くつろ
げる場でないといけませんよね。

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